カオスの弁当

中山研究所blog

2020-08-10から1日間の記事一覧

山と如是閑(2)

如是閑は屡、ディオゲネスを作品の中に引用、或いは登場させる。また、そのシンボルである樽が小道具として、或いは人間を翻弄する要請的存在として登場する小話が、『山へ行け』が収録されているエッセイ集『真実はかく佯る』(1924年)には収録されている…

山と如是閑(1)

長谷川如是閑(1875-1969)に、『山に行け』というエッセイ(1919年)がある。 「登山の期節が来た。」という緒言で始まる短い文章は、前年、大阪朝日新聞社(以下、大朝)を退社してから彼が、同じく大朝を退社した丸山幹治、大山郁夫らと共に創刊した雑誌…

鯨とひとりもの

浜に一頭の鯨が座礁した。瀕死の鯨を沖に戻す謂れもなく、又食うでもなしに、浜辺の近所の住人は、普段、釣りばかりしているひとりものに、鯨に止めを刺して来るようけしかけた。 渋々、モリを持った男は、自分がモリで突き刺されなかっただけマシだと思い、…