カオスの弁当

中山研究所blog

ラムネとかんぴょう

 甘い巻きものであるかんぴょう巻きは、子供時分には得意ではなかった。

 米の飯であるところのおかずに甘いものを食べるのに慣れていなかった所為である。

 同じ理由で、花でんぶも得手じゃなかった。

 

 最近、それらを平然と食らうことが出来るようになったのは、蓋し、酒がまるで飲めない事がわかった為である。寿司屋に行って、何を食うにせよ、自分は先にさっさと腹をいっぱいにしてしまう。一人で食べている分に是は全く問題ないのであるが、他人と食っている場合になると些か事情は違ってくる。

 

 オレンジジュースとか、りんごジュースというのは大抵の店にはあるものだが、サイダーとかラムネになると、置いてない店も少なくない。

 あれば大体頼むのがサイダーだ。しかし、なお選択の余地があるならば、ラムネを頼む。大抵、夏の風物詩であるから飲む時期も自ずと決まってくる。だが、年中置いてある店だった場合には、同席者にも寄るが、ラムネを選ぶ。

 当然、ラムネは甘い。すると、敢えて塩っぱいものと合わせるのが不穏になる。

 そこで注文するのが、甘い食事であるかんぴょう巻きーーという事になる。

 

 如何にも、何処かの誰かが既に書いてそうな事であるが、結果としてその誰かと経路は違うものの、たまさか同じ結論に至ったーーというのは、大抵の場合、信用されないものである。

 ただ、こういう場合に於いては自分が信用されるか如何かはさしたる問題ではない。

 そこに至るまでの経過が個人的には重要であり、その結果として得られた知見の御他人にも通用し得ると証明される事が普遍的に重要な事項なのである。

 

 かんぴょう巻きは、ラムネに合う。

 恐らくどちらも、それだけ頼む客というのはいないのであるまいか?

  

(2020/08/16)