カオスの弁当

中山研究所blog

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

懐中時計と書棚

東洋時計の懐中時計は、国産最後の懐中時計と呼ばれている。五百円玉を二回り大きくしたくらいのサイズで、厚みはコンビニで売ってる和菓子のア・ラ・カルトの中に入ってる茶饅頭ほどである。 これともう一つ、最近手に入れた商館時計を見比べると、後者の大…

シールとバーコード

子供の頃に、スーパーとかで親が買ってきた野菜や惣菜の値札や商品シールを剥がして、腕とか服に貼っていると叱られたものだった。肌が痛むからとか、服につけたままで洗濯機の中に放り込まれると厄介だから、とかそんな理由からであったが、今から考えると…

コスプレから作業服へ/長谷川如是閑初期文芸作品に託けて

背広はサラリーマンの作業着である。成る程、其れならば、背広の格式なんぞはすっかり作業の過程の中に繰り込んでしまえるから、着心地は大分改善されるものだろう。 人間、着ているものに相応しいものに身を包んでいる奴は先ずいないーーとは、若き日の如是…

22世紀外観

タラップから降りた人間は、単なる人間である。馬の上の人間は単なる馬の上の人間に過ぎず、それがどんなものかという経緯については、さして誰も関心がない。 概して人間という奴の関心が行く場所は決まっていて、やれ鼻の高さはどうだった、だの、目の色は…

カント時計の謎

カントの規則正しい散歩についての逸話は恐らく創作だろうが、彼自身の散歩の習慣については、実に最もらしく思われる。 ただ、その散歩をしていた時期がいつなのかは甚だ怪しいが、これは創作者の爪の甘さ、設定の不確かさに由来するものだろう。 鬱屈とし…